中性脂肪とは何?上がる原因と下げる対策方法
「中性脂肪」は身体の中でどんな役割を果たすのでしょうか?主な影響と適正値についてまとめました。
そもそも「中性脂肪」とは?
中性脂肪は脂質の一種で、トリグリセライドとも呼ばれています。グリセリンに3つ(トリ)の脂肪酸がくっついているためにトリグリセライドという事。
中性脂肪の体の中での主な役割は以下のとおりです。
- 身体を動かすためのエネルギー源
- 臓器の保温・ショック吸収
- エネルギーの貯蔵庫
「エネルギー貯蔵庫」の役割もある中性脂肪ですが、本来は飢餓 等で「生命的に危険な状態」になった場合のような緊急時に使われていたものです。
ただ、現代社会ではそのような飢餓が起こるような事は稀ですよね。
ですので、どちらかというと「エネルギー貯蔵が過剰」になってしまっている人がほとんどで、その結果、皮下脂肪として貯蔵されてしまうというわけ。
はるか昔に必要だった「飢餓に備えて貯蔵する」という体の機能が、現代社会では逆に足枷になり、肥満の一因になっているのです。
中性脂肪が上がる原因
中性脂肪が上がってしまう理由には、次のようなものがあります。
「脂の多い食事」によるもの
脂肪酸(脂)は、「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」の2つに分けられ、不飽和脂肪酸はさらに細かく分類分けされています。
飽和脂肪酸は基本的に動物性の脂。不飽和脂肪酸は植物性の脂です。
この中で中性脂肪を増やしやすい脂は、動物性の飽和脂肪酸の方です。具体的には牛肉、豚肉等の脂。ラード。ココナッツ油。ヤシ油等があります。
▶関連:中性脂肪を上げる食事・中性脂肪を下げるメニューまとめ
「揚げ物」によるもの
食べ物の中でも揚げ物は中性脂肪を上げやすい代表的な料理です。
先に紹介した脂肪酸の中には、オメガ3系の脂肪酸のような「中性脂肪を下げる」タイプの油もありますが、残念ながらこれらの油も、揚げ物を作る時の高温調理によって体にとって有害な油に変化しやすくなります。
「アルコール」によるもの
過剰なアルコールの摂取も中性脂肪を上げやすくする要因。一般的にアルコールの摂取量と体内の中性脂肪の増加量は比例関係にあります。
その要因となっているのは、アルコールが分解された後で生じる「アセチルCoA」と呼ばれる成分です。
通常は、脂肪酸を取り込みエネルギーとして活用させるのに欠かせない成分です。ですが、お酒の飲み過ぎによって過剰にアセチルCoAが増えてしまうと、脂肪酸を活用するどころか、逆に脂肪酸の取り込みを邪魔してしまうようになります。
その結果、体内の中性脂肪量もどんどん増加してしまうのです。
「運動不足」によるもの
単純に運動不足によっても中性脂肪は増加します。中性脂肪を下げるために適した運動は「有酸素運動」です。
有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、水泳等の運動で、「有酸素」の名前のとおり運動中に呼吸ができる事が前提の全身運動です。
短距離走のように、途中で一時的に無呼吸になるような運動は無酸素運動ではないので、注意が必要です。
▶関連:中性脂肪を下げる運動目安時間と自宅でできる簡単な運動
「血糖値の急上昇」によるもの
例えば、甘いものを一気に食べたりすると血液中の血糖濃度が急上昇します。
この血糖値が急上昇するタイミングで、中性脂肪も多く生成される事が分かっています。
「甘いものは太りやすい」とよく言われますが、その理由にひとつが、この血糖値急上昇に伴う中性脂肪の増加が要因です。
「血糖値上昇で中性脂肪ができる」という体の特徴を活かして、逆に糖質をカット(もしくは制限)する事で、中性脂肪の増加を抑えるダイエット法が、いわゆる糖質制限ダイエットになっています↓
▶関連:糖質制限ダイエットのやり方・初心者でも3分で分かる仕組み
ストレスによるもの
過剰なストレスを受ける事でも中性脂肪は増加します。その理由となるのが2つ。
一つ目は単純にストレスによって過食になってしまうため。ストレス発散による食べ過ぎが要因です。
そして、もう一つは体の構造的なものが要因。過剰なストレスを受けるとストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌されますが、このホルモンが増えすぎると、連動するように中性脂肪も増えていきます。
▶関連:ストレスで中性脂肪が増える!?原因と関係性を3分で解説
女性ならではの要因
男性に比べて、女性は「ホルモン」の影響を受けやすい時期がいくつかあります。
月経、妊娠、閉経後など、時期ごとに大幅にホルモンバランスが乱れ、それが要因となって心身に影響を及ぼす事も多いはずです。
女性ホルモンの代表的なものであるエストロゲンは、内臓脂肪をつきにくくする作用がありますが、更年期に入りこのホルモンが減ってくると内臓脂肪がつきやすくなってしまいます。
そして、内臓脂肪が増える事と合わせて、中性脂肪も一気に増えてしまう女性も多いようです。
また、これも女性ならではの要因として「妊娠時に中性脂肪が増える」という事も挙げられます。
これは、妊娠中に中性脂肪が増える事は、基本的には自然な事で、どんな女性でも起こりえる事。妊娠時期のエネルギーを確保するためや、赤ちゃんを守るために必要なものです。
ですが、この時期でも過剰に中性脂肪が増えてしまう事は、逆に悪影響となってしまいますので、「正しく中性脂肪を増やす」必要があります。
中性脂肪を下げる対策
中性脂肪を下げる方法には次のようなものがあります。
食べ物を見直す
生活で見直すべき第一のポイント。食生活の改善は、中性脂肪の改善のための第一歩です。
食べ物で中性脂肪を改善するコツは、食べ物からの中性脂肪の吸収を抑えてくれるものや、脂肪燃焼を活性化させるタイプのものを摂取する事です。
また、DHA/EPAのように国の機関(厚生省や消費者庁)から、中性脂肪の低下作用を認められている栄養成分を積極的に利用するのもおすすめ。
食べるものの他にも、「よく噛んで食べる」事を徹底したり、「太りやすい時間帯に食べない」という事を意識するのも、中性脂肪を下げるための食生活改善方法として有効です。
有酸素運動をする
先に解説したとおり、運動不足は中性脂肪を増やす要因です。
運動の中でも有酸素運動を取り入れる事で、効率的に中性脂肪を減らせる事が分かっています。
目安としては、1回の運動時間は最低20分以上。よくダイエット時の運動でも言われる事ですが、この時間を経過する事で血中の糖分がエネルギーとして消費され、その後、脂肪をエネルギーとして使用するために燃焼されるようになります。
中性脂肪が増える原因に「ストレス」もありましたが、有酸素運動はストレス解消にも効果的な事は有名ですので、ダブルの作用で中性脂肪に有効と言えます。
病院や薬、漢方の利用
明らかに中性脂肪の数値が高い場合には、個人での解決は困難になるかもしれません。
いわゆる「脂質異常症」と診断された場合には、生活習慣を抜本的に改善するための専門的な指導や、場合によっては中性脂肪を下げる薬も使用される場合もあります。
また、これらの専門医の指導や薬の処方と合わせて、漢方薬等も合わせて使われる場合もあるようです。
中性脂肪の基準値はどれぐらい?
中性脂肪(TG)の一般的な基準値は30〜149mg/dl と言われています。その他、数値の状態によって以下のように分類される事が一般的です。
出典:J.フロント健康保険組合
この基準値は、日本動脈硬化学会のガイドラインを基準にしています。
他、人間ドッグ学会や日本脂質学会等でそれぞれ数値が違っている事が特徴です。
中性脂肪で血液ドロドロになる?
「 中性脂肪が血管に溜まり血液がドロドロになる」という事は、コレステロール悪玉説と合わせて良く言われる事です。
ただ、この事は〈コレステロールとは何か?善玉・悪玉ではない理由〉で解説しているように、「原因になっている!」という意見と「中性脂肪は関係ない!」という意見が、学会によって分かれている内容です。
また近年では、コレステロールや中性脂肪が活性酵素によって参加した物質「過酸化脂質」と呼ばれるものが原因で動脈硬化の引き金になる、との説も出てきていて、素人目にはとても分かりにくい、多様化している内容となっています。
ただ「中性脂肪自体が身体のエネルギー源である」という事実は間違いなく、過剰に低すぎるのも問題ですし、逆に過剰に増えてすぎて余分な脂肪分の要因となっている事も問題であると言えます。
ですので、中性脂肪は「過剰に高くても低くてもNG」という事を意識する事がポイントとなります。
ダイエットにDHAがおすすめな理由とは?
DHA・EPAには内蔵脂肪を燃焼させる着火剤的な作用があり、多くの医師が「効率的な脂肪燃焼に必要な栄養素」として推奨しています。
また、消費者庁が行った栄養成分の機能評価でも、中性脂肪を減少させる作用が「A判定」。
DHA/EPAがダイエットにもおすすめなのは、どのような理由があるのでしょうか?
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