アラキドン酸とは?身体への効果と影響まとめ
アラキドン酸の基本的な働きや効果、人の身体に与える影響についてまとめます。
アラキドン酸とは?
アラキドン酸は、油の種類のひとつである「不飽和脂肪酸」のうち、オメガ6と呼ばれる項目に分類されるリノール酸が体内で変換した脂肪酸のこと。
オメガ6系の脂肪酸は、必須脂肪酸といわれる人の細胞等を構成するのに欠かせないもので、身体にとって必要な脂肪酸でもあります。
ただし、その必要量はさほど多くありません。
アラキドン酸の元となるリノール酸は、ベニバナ油やコーン油等に多量に含まれています。
他、肉類・卵・魚等にも含まれているので、現代型の食生活でリノール酸が不足する事はなく、「アラキドン酸が足りなくなる」という事は、ほぼありません。
人の体へ与える効果
アラキドン酸が体内に与える影響や効果には次のようなものがあります。
細胞膜の材料
アラキドン酸は細胞膜の材料のひとつであり、特に脳の中に多く含まれている事が分かっています。
血液の凝集作用
血小板に取り込まれたアラキドン酸は、出血等で血管が破けると「トロンボキサンA2」という血小板を凝集させる物質に変わります。
血液の凝集を抑える作用
血小板の凝集作用が強まった時には、血管壁に取り込まれたアラキドン酸が、逆に凝集を抑えるプロスタグランジンI2に変化し凝集を抑えます。
血小板の凝集させつつ、状況に応じて凝集しすぎないように…という2面性の働きを持った脂肪酸である事が分かります
アラキドン酸のとりすぎは危険
一見すると、無害に思えるアラキドン酸ですが、過剰に摂り過ぎると危険です。
(※現代型の食生活は、かなり取り過ぎてる傾向があります。)
血栓の原因になる
アラキドン酸から生成されるトロンボキサンA2の凝集作用はとても強力。
凝集を抑えるプロスタグランジンI2の効果ももちろんあるのですが、トロンボキサンA2の働きに負けてしまいがち…。
肉類や油たっぷりの食生活(一般的な食用油はほとんどオメガ6)で、血液がドロドロになりやすい要因の一つです。
気管支喘息の原因になる
アラキドン酸から生成されるトロンボキサンやプロスタグランジンは局所ホルモン(エイコサノイド)と呼ばれます。
アラキドン酸から生まれるエイコサノイドは、実はもう1つあり…それがロイコトリエン。
気管支喘息の原因ともなり、花粉症の初期症状時に生成されてるヒスタミンより、さらに強力なアレルギー反応もあるホルモンです。
ガン細胞の増進の可能性
アラキドン酸から生成されるプロスタグランジンには、先に紹介した血小板の凝集を抑えるI2の他、E2という物質も生成します。
プロスタグランジンE2は細胞の増殖や細胞死を抑制する働きがありますが、摂取のしすぎによって、がん細胞に働いてしまい、転移や増殖を促進させてしまう「きっかけ」となる例があります。
ARAサプリは危険?粉ミルクに入ってるのはなぜ?
ARAサプリは、アラキドン酸サプリの事でDHAも組み合わせてサプリとして、いまだに販売されているようです。
アラキドン酸は脳の主成分でもあるため、同じく脳の主成分であるDHAと混合されて、主に高齢者を対象にした「脳に良いサプリ」という売り文句です。
ただ、ここまで読んでいただけると分かるとおり、アラキドン酸の過剰摂取はNG。
現代型の食生活の中では十分にオメガ6系のリノール酸から、アラキドン酸は十分すぎふほど摂取できている状態です。
ちなみにアラキドン酸は粉ミルクの成分としても、世界的にも有名。
「脳の発育に良い」という事が有名になっている一因ですが、赤ちゃんを対象としてみると、リノール酸系の脂肪酸を摂取する機会がなく、アラキドン酸はまだ多くはない状態。
母乳成分にもアラキドン酸は含まれていますので、その成分に近づけるために、粉ミルクの成分上でも必要量だけアラキドン酸が入れられています。
▶関連:母乳のdhaが赤ちゃんに与える効果と必要量はどれぐらい?
大人と赤ちゃんのアラキドン酸の量を比較すると、もともと体内に存在しているアラキドン酸の量が違うのですから「赤ちゃんも飲んでるから大人も大丈夫」と思っていると、過剰に摂取してしまう事になってしまいます。
- 赤ちゃんは体内にアラキドン酸が少ない状態なので、母乳や粉ミルクで必要量摂取する事が必要。
- 大人は、普段の食生活で十分にアラキドン酸量が足りている。なので、特別な理由がない限りはサプリ等での補給は不要。
まとめると、このような内容となります。
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